スポンサーリンク

【邦楽レビュー】RHYMESTER/グレーゾーン

RHYMESTERのアルバムは全て持っている筆者ですが
その中で一番好きなアルバム。自分の周りの評価は賛否両論あった覚えがある。
悪名高きCCCDだったこともあるけどRHYMESTERの中ではあまり売れなかった気がする。

筆者はこのアルバムが一番「RHYMESTERらしい」アルバムだと思ってます
またアルバムタイトルのグレイゾーンというテーマに沿ったコンセプトアルバムのような一面も感じます。
右も左も寄りすぎない。RHYMESTER節とも言えるひねくれた視点が満載のアルバム。
ということで全曲解説します(自己満)

01. スタンバイ・チューン

このアルバムの掴みともいえる軽快なトラックに載せた1曲
2人揃って「(ス)タンバイチューン」で全小節踏み続けるのは圧巻(踏み外しまくってるけど)

<<辛けりゃ頼みな半ライス!>>

02. Rhymester曰く、

この曲は解釈が難しいけど、一言でいえば「自己顕示欲の塊」みたいな印象
「教え」のようなスタンスで自意識を歌っている。
意図的に金言集みたいな作りにしているっていう構図は
おそらく当時HIPHOPで若手が台頭してきている時代だからこそ
自己を確立したいという表れかと思った。

<<「HIPHOPとは何ぞや?」んなもん知ったとこでそれがナンボや?>>

03. 現金に体を張れ

その名の通り「金」をテーマにした1曲
普通ラッパーは「金」に対して「金持ってるぜ」的なアプローチをするけど
RHYMESTERは「金」に対しての怒りやフラストレーションを全面に出している
街金だったり銀行だったり援交だったり・・
ちなみにCreepyNutsの「紙様」はこの曲オマージュだと勝手に思ってる

余談だけど同タイトルのシングルのカップリングとして入っている「続・現金に体を張れ」
もお勧め

<<紙であり神。奇妙なありがたみ>>

04. JIN`s ROOM (CM)

skit的な曲。JINの唸り声や叫びをふんだんに聞ける

05. ザ・グレート・アマチュアリズム

筆者がRHYMESTER全曲の中で一番好きな曲。
誰でもラップ始めていいんだ!って思わせてくれる。
「初心」のままで突っ走ってる彼らだからこその説得力。
彼らなりの熱さがふんだんに伝わる1曲
「好き」をそのまま仕事にしたからこそのアマチュアリズムだと思う。

<<すげー敷居低ぃ歌唱法 ちょうど俺が生きた証拠>>

06. だから私は酒を呑む

一言でいうならば「演歌」
酒の歌というよりは愚痴の歌。
意図的にだと思うが70年代生まれらしいフレーズがふんだんに入っていて面白い

<<ジョッキ挙げた状態 むっちゃ直訳 Put ya ジョッキUP!>>

07. 911エブリデイ

紛れもなくクラシック。ギドラの911と違うアプローチ。
歌いだしの「どこか遠い国で起こった大惨事。TVで眺めてる幸せな午後三時」の言葉の重さ。
「戦争反対」は大前提だけど、なんでアメリカが被害にあった場合だけこんなに報道するの?
世界じゃ同じことが毎日のように起きてるよ?
まさに「違いは見せるか見せないか。またはみんなが見てるか見ていないか」
で善悪なんて変わってしまう。

<<餓えて死んだ子の体重 よりもずっとズッシリと重たい銃>>

08. フォロー・ザ・リーダー

「あの偉大な二代目がやってくる」「ファシストと分かってたってするアシスト」
「父のごとく頼れる指導者」
など、単純に北朝鮮を某2代目目線で歌った曲
・・・と思いきや滅茶苦茶皮肉が効いている
他人事じゃなくね?日本人だって同じじゃね?と気付かされる。
当時再選され続ける石原都知事だったり、それを盲目的に選択しちゃっている国民にこそ
問題があるんじゃないか?と啓発される。

余談だがこのやり口はザ・ネイバーズにも活かされた構図だと思う

<<プロパガンダってなんだ?なんだテレビのことか知らなんだ>>

09. BIG MOUTH

と・・立て続けに色々考えさせられた後にバカやってくれる点もこのアルバムの良いところ。
2人して大口をたたく。
この曲はMUMMY-Dが神がかっていると思う。
「苦手なんだぜ自画自賛は」から始まり自画自賛しまくる。
人名で遊びまくっている

<<ここはDangerZone ノット コウジ・タマキ>>

10. スロー・ラーナー

Dと宇多丸がそれぞれ1バースずつ。
2人の説明しすぎない美学が素敵な1曲。
Dのバースは、世間から無能と思われている人はもしかしたら大器晩成なだけかもしれない。という
メッセージを感じる。
仕事、音楽、人間性・・・いろんなことに当てはまるんじゃないかなと思う。

<<お前は大器晩成いまだ未完成 凡人の感性超えたエトランゼ>>

11. お ぼ え て い な い

このアルバム内で一番ギャグに偏った曲。
宇多丸は物忘れの激しさ。Dは酒。それぞれの「おぼえていない」のアプローチが素敵
特にDのリリックには覚えがある人も多いんじゃないだろうか。

<<上着が俺のじゃねぇ!>>

12. 4’13”

だいぶトリッキーな視点だと思う
ざっくり言うと時間について歌っている曲。
「この曲の俺を聞いて俺だと思ってるけど、それは過去の俺だ」
という深くも屁理屈に満ちたメッセージ
なんとなくSFチックな1曲

<<音楽産業廃棄物>>

13. グレイゾーン

これぞRHYMESTERイズムなんだと思う。
どっちにも染まらない。付和RIDE ONにも似たニュアンス。
思想でいえば右翼左翼。HIPHOPでいえばアングラとポップ
当時の彼らはまさに「どこにも馴染めない」だったんだろうなと思う

<<敵?味方?いやノーサイド 貫く俺の灰色の脳細胞>>

14. WELCOME2MYROOM

文字通り部屋について歌った1曲
当時まだ結婚していなかった2人の一人暮らし特有のだらしない生活感が滲み出ている
2人の情景描写が凄く部屋の様子がイメージできるのが凄い
Dはレコードや機材に囲まれながら
宇多丸は映画や本に囲まれながら
その部屋がまさに彼らのリリックの発信源なんだろうなと考えさせられる

<<ガラクタ詰まった俺の小宇宙>>

最後に
ほとんどリリックも調べずに書けるほど聞き込んだアルバム
改めて書きながら思ったのはCreepyNutsの楽曲はこのアルバムに影響されたものが
滅茶苦茶多い気がした。
RHYMESTERのアルバムで全曲大好きなのはこのアルバムだけかもしれない
良い意味でダサい。ひねくれた熱さ。
個人的に是非聞いてほしい1枚

Written By キャラバン

スポンサーリンク